薬剤師の求人情報のおチラシはいつも沢山入ってきます

2011/11/16 00:54

白衣を着た女性がチラシの紙束とガムテープを持って街中を歩いている。その後ろをやや小走りに、女性の上を行く量の紙束を両手に抱えて白衣を着た男性が続く。女性は視界に入る電信柱という電信柱にべたりべたりとチラシを貼り付けて、視界に入るガードレールというガードレールにべたりべたりとチラシを貼り付けていく。男性は女性についていくのがやっとのようで、何枚かの薬剤師の求人情報と書かれたチラシが風に攫われていた。


ノルマは、と女性が口を開くと男性が、あと五千枚ですと答え、女性の眉間に皺が寄った。彼が両手一杯に抱えている大量の紙束では足りないのだろう。薬剤師の求人情報などインターネットが普及した今の時代なら検索をかけて見つければいいだろうになんともアナログな事だ。二人が着ている白衣もパフォーマンスの一種だろうか、やけにパリッとした質感をかもし出している。


やがて女性がヤケになったのだろう、道行く人の背中にすら遠慮もなしにチラシをべたりべたりと貼ってゆく。背中にチラシを貼られた誰かはそのまま気付かずに歩いてゆき、連れのいる通行人はチラシを貼られた背中を指さして笑っているが、その背中にも薬剤師の求人情報が貼られている事は当人だけが気付かない。町中がチラシだらけになっているというある種異常な事態に人々は次第にチラシに興味を持ち始めるが、その対象は誰が何故、という情報であり、肝心の求人情報には見向きもしていなかった。